チェーン注油と張り調整の基本

チェーン

まずはチェーン清掃から始めよう

注油の前にチェーンを清掃しておくことで、潤滑剤の効果がしっかりと発揮されます。チェーンには、走行時に巻き上げたホコリや泥、古いオイルが蓄積しています。これを放置するとチェーンが固着しやすく、異音や抵抗の原因になります。

清掃には、ナイロン製のブラシとチェーンクリーナー、ウエスがあれば十分です。特にシールチェーンの場合、強力な溶剤は使用せず専用品を選ぶようにしましょう。まずはクリーナーをチェーン全体にスプレーし、ブラシで上下左右から汚れを落とします。その後、ウエスで余分な液剤と汚れを拭き取って仕上げましょう。

作業時はエンジンを停止し、ギアはニュートラルで行うのが基本です。指の巻き込み事故を防ぐためにも、ホイール回転には十分注意してください。清掃の頻度は、500〜1,000kmごとや雨天走行後が目安になります。

注油のコツは“見えない部分”を意識すること

チェーン清掃が完了したら、注油を行います。使用するのは「シールチェーン対応」のチェーンルブです。飛び散りにくく、潤滑性が長持ちするタイプを選ぶとよいでしょう。注油のポイントは、外側ではなく内側に意識を向けることです。

チェーンのローラーとプレートの隙間、リンクの内側にしっかりルブを浸透させることが重要です。チェーンの外側だけにスプレーしても、内部の摩擦にはほとんど影響しません。リアホイールを回しながら注油し、全体に行き渡らせます。

注油後は、乾いたウエスで余分なルブを軽く拭き取っておきます。このひと手間で、飛び散りやベタつきが防げます。注油後すぐに走り出さず、30分ほど放置してオイルを馴染ませると効果が高まります。なお、注油の頻度は走行距離500km前後、または雨天走行・洗車後がひとつの目安です。

張り調整で走りの質が決まる

チェーンの張りは、走行性能と安全性のどちらにも関わります。張りすぎると駆動ロスやチェーンの早期劣化を招き、緩すぎると外れる恐れやショックが大きくなります。適正なたるみは、車種にもよりますが25mm〜35mmが一般的です。

調整は、まずリアホイールを浮かせた状態で行います。アクスルナットを緩め、左右の調整ボルトで張りを調節します。左右の位置を揃えることが大切なので、スイングアームにある目盛りを基準に確認しましょう。張りが整ったらアクスルをしっかり締め直し、チェーンのたるみを手で確認します。

走行時にガチャガチャと音がする、チェーンがたるんで見えるといった場合も、張り調整のタイミングです。シールチェーンなら2,000kmごと、ノンシールチェーンなら500kmごとをひとつの目安にメンテナンスを行いましょう。張りの調整も清掃・注油とあわせて定期的に実施することで、スムーズな駆動と長寿命が期待できます。