電気系統のメンテナンス

電装系のメンテナンス

バイクのメンテナンスは、エンジンオイルの交換やタイヤの点検など、機械的な部分に焦点を当てることが一般的です。
しかし、バイクの電気系統も同様に重要です。電気系統はライト、ホーン、点火システム、バッテリーなど、バイクの機能性と安全性に直接関与します。
この記事では、バイクの電気系統メンテナンスの重要性に焦点を当て、バッテリーケアからイグニッションシステムの点検、ライトと信号装置の保守、電気系統の防水対策、トラブルシューティングの方法までを網羅的に説明します。

電気系統メンテナンスの重要性

バイク愛好家にとって、バイクのエンジンや外観のメンテナンスはよく強調されますが電気系統のメンテナンスも同じくらい重要です。
バイクの電気系統は、安全性、快適さ、および性能に直接影響を与えます。
電気系統が適切に機能しない場合、ライディングの安全性が損なわれ、快適なツーリングが妨げられる可能性があります。

電気系統メンテナンスの重要性を理解するには、各部品がどのようにバイクに影響を及ぼすかを見てみましょう。

バッテリーケアと交換

バッテリーはバイクのエンジンを始動し電気系統を駆動するための重要な部品です。
バッテリーの寿命を延ばし、バイクの起動トラブルを予防するために、適切なケアと交換が必要です。

バッテリーの点検

バッテリーの点検は、定期的に行うべき重要な作業です。
バッテリー端子が清潔で、しっかりと接触していることを確認しましょう。
酸液レベルが適正かどうかも確認します。バッテリーが放電しやすい冷季節には、充電状態を特に注意しましょう。

バッテリーの交換

バッテリーが劣化したり、充電が保持されなくなった場合、交換が必要です。
新しいバッテリーを選ぶ際には、バイクの仕様に合ったものを選びましょう。
バッテリーの交換手順については、メーカーの指示に従いましょう。

イグニッションシステムの点検と調整

バイクのイグニッションシステムは、エンジンの正確な点火を制御し、適切なタイミングで燃焼を確保します。スパークプラグと点火装置のメンテナンスが必要です。

スパークプラグの点検

スパークプラグはエンジンの点火源です。
スパークプラグの電極が焼き付いたり、過剰に摩耗したりすると、点火が不安定になる可能性があります。
スパークプラグの点検と清掃は、正確な点火を確保するために重要です。

点火装置の調整

バイクの点火装置を調整することは、エンジンの正確な点火タイミングを確保するのに役立ちます。
メーカーの指示に従い、点火タイミングを調整しましょう。適切な点火はエンジンのパフォーマンス向上につながります。

ライトと信号装置の保守

バイクのライトと信号装置は、昼夜の視認性と安全性に欠かせない要素です。
ヘッドライト、テールライト、ウィンカーのメンテナンス方法を説明し、明るいライディングを確保します。

ヘッドライトの調整

ヘッドライトの調整は、夜間走行時に前方の視認性を確保するために重要です。
ヘッドライトが正しい高さと方向を向いていることを確認しましょう。

ライトの電力供給の点検

ライトと信号装置の正確な動作には、電力供給が不可欠です。
バッテリー端子や電気配線がしっかりと接触していることを確認しましょう。断線や接触不良がある場合は、修理が必要です。

ホーンのトラブルシューティング

バイクのホーンは、音で周囲に自分の存在と危険を知らせる警音器です。
しかし、意外と見落としがちで、車検整備時に鳴らなくて交換となるケースが多々あります。
ホーンのトラブルシューティング手順を説明し、正常な動作を確保する方法を紹介します。

ホーンのスイッチと配線の点検

ホーンの仕組みを簡単に説明すると、ホーンスイッチを押すと電流が流れて、ホーンの中にある振動版が動いて音を出すという仕組みです。
トラブルの多くは、スイッチや配線の問題に起因しています。
また、使っていないと内部の部品が固着し、振動版が動かなくなるケースも多く見られます。
ホーンのスイッチの操作がスムーズであり、配線が適切に接続されていることを確認しましょう。

ホーンの交換

ホーンが故障して修復不可能な場合、新しいホーンの取り付けが必要です。
予備のホーンを用意し、交換手順に従い取り付けます。ホーンの交換や取り付け方法はそこまで難しいものではありません。
ホーンを取り付けた後、どうしても音が鳴らなかったり、規定の音量が出なかったりするときは、バイクショップで点検してもらいましょう。

電気系統故障の兆候と対処法

バッテリーの寿命、スパークプラグのトラブル、電気系統の問題など電気系統の故障の兆候を認識し、それらに対処する方法を紹介します。

バッテリーの寿命兆候

バッテリーが寿命になるとエンジンの始動ができなくなります。
始動時にエンジンが回らない、ライトが暗い、エレクトリックスターターが動かないなどの兆候に注意しましょう。
通常、バッテリーの寿命は2~3年程度だといわれています。ただし、バッテリーは種類や使い方によって大きく変わってくるものです。
適度な頻度でバイクに乗っていれば走行によって充電されるので長持ちしますし、バイクにあまり乗っていないとバッテリーの寿命は短くなります。

イグニッションコイルのトラブルの兆候

イグニッションコイルはスパークプラグが火花を飛ばせるように、電圧を昇圧させる変圧装置のことです。
通常、バッテリーやジェネレーターから点火装置に送られる電圧は12Vですが、それではスパークプラグに火花を飛ばすことはできません。
そのため、イグニッションコイルで20,000~30,000Vに昇圧させてプラグに火花を飛ばせるようにしているのです。
イグニッションコイルが故障するとエンジンがかかりにくい、パワーが出ない、アイドリングが不安定といった症状が見られます。
これらの症状はイグニッションコイル以外でも見られますが、イグニッションコイルの場合、エンジンが暖まると症状が出やすいという特徴があります。
正確に判断するにはテスターが必要なので、バイクショップに診てもらうといいでしょう。

スパークプラグのトラブルの兆候

スパークプラグは、エンジン内でガソリンと空気の混合気に点火するための装置です。
スパークプラグに電気を飛ばして火花を飛ばし、エンジン内で混合気を爆発させることで動力を得ています。
問題があると、エンジンの始動が悪くなるだけではなく、運転中にエンジンが止まってしまうなど、予期せぬトラブルに発展してしまう可能性があります。
エンジンが不安定に動作する、アイドリングが不安定である、スパークプラグから火花が飛ばないなど、これらの兆候を注意深く観察しましょう。

ヒューズのトラブル

ヒューズとは、決められた容量以上の大きな電流が流れないようにするための部品です。
メーターやランプ、セルなどの電装部品は、すべて流すことのできる容量が10Aや20Aと決まっています。
そのため、決められた容量以上の過電流が流れると壊れてしまうため、ヒューズが設置されています。
ヒューズに過電流が流れると溶けて切れるようになっており、切れたヒューズは交換しなくてはなりません。
ヒューズの交換自体は簡単ですが、交換してもすぐ切れてしまう場合、原因を特定することが大切です。
原因の特定は電装系の知識とテスターなどが必要なので、自分では難しいと思った場合はバイクショップに相談するといいでしょう。

ライトのトラブルの兆候

近年はLEDヘッドライトも増えていますが、多くのバイクのヘッドライトはハロゲンバルブです。
ハロゲンランプの特性上、使ううちに徐々に暗くなっていきます。
暗さを感じたら、レンズの清掃やバッテリーの寿命を疑ってみましょう。
ただ、人の目は徐々に慣れてくるので、なかなか気づかず突然切れるように感じてしまうのです。
よく走る人なら1年に1回は交換しなくてはなりません。
交換のタイミングで高寿命のLEDヘッドライトに交換するのもおすすめです。

スピードメーターのトラブルの兆候

バイクにおいてスピードメーターは速度や走行距離を確認するために重要な部品です。
針が動かない、針がぶれる、スピードメーターの表示がおかしいなどの症状が見られたら故障している可能性があります。
そのため、故障したスピードメーターをそのまま使用して走行することをしてはいけません。
実際の速度を確認できないため、法定速度を超過する恐れがありますし、整備不良で違反の対象となります。
バイクの場合、違反点数1点の反則金6,000円が科せられますので、故障した場合は速やかに修理しましょう。

スピードメーターの故障原因は、ワイヤーの破損やメーター自体のギアが破損、配線の断線が考えられます。
早急にバイクショップに修理を依頼するようにしましょう。

電子制御ユニットは素人が触るのは危険

国産の大型バイクや輸入車にはトラクションコントロールや電子制御サスペンションなどの電子制御ユニットが備わっているケースが多いですが、それらには手を出してはいけません。
メーカー独自のコンピューターにつなげないといけないケースが多く、素人がメンテナンスするのはほぼ不可能といっていいでしょう。
万が一、触って故障した場合、数万~数十万円単位の修理費用が必要です。
電子ユニットは素直にバイクショップに任せましょう。

バイク電気系統メンテナンスのスケジュール

電気系統の定期的な点検と保守を計画することは、バイクの信頼性を高める鍵です。
メンテナンススケジュールの設定方法について詳しく説明し、忘れずに必要な作業を実行します。

定期的な点検の重要性

定期的な点検は電気系統の異常を早期に発見し、修理を容易にするのに役立ちます。バッテリーの点検、スパークプラグの清掃、配線の点検を定期的に行いましょう。

メンテナンススケジュールの設定

メンテナンススケジュールを設定する際には、メーカーの推奨事項を参考にしましょう。
バッテリーの点検は毎月、スパークプラグの交換は年に一度など、作業の頻度を計画します。

バイクの電気系統メンテナンスは、ライディングの安全性と快適さに欠かせない要素です。
適切なメンテナンスを行い電気系統の正確な動作を確保しましょう。